ドラグ=ナイツと向き合う

こんにちは、きたしまです。
早速だが皆さんは「ドラグ=ナイツ」という存在をご存知だろうか。

ドラグ=ナイツとは

ドラグ=ナイツとはWEBメディア「オモコロ」の編集長、原宿氏が高校時代に執筆しようと思った(・・・・・・・)冒険小説です。
ストーリーとしては主人公ウェインとその幼馴染たちが竜の騎士団(ドラグナイツ)に入団し、騎士としての成長が描写される(予定)というもので、当然ながら執筆自体されていないため、現時点でその物語を鑑賞することは不可能となっています。しかしながら、物語の基盤となる設定のみ存在しているため、骨組みはあるが中身のない状態となっているのです。

原宿氏がドラグ=ナイツのクイズを出している動画があるので、ご覧ください。というか、ほぼこの動画の内容がドラグ=ナイツの全てです。
youtu.be


本記事では、公式(原宿氏)から出されているドラグ=ナイツの情報をまとめるとともに、仮に執筆する場合に詰めていかなければならない展開や設定について考察していこうという試みを実施しています。
なお、筆者のきたしまは作家でも脚本家でもないただの素人である点はご容赦いただけますと幸いです。

既出の設定・情報について

まず手始めに、現時点で世の中に出ているドラグ=ナイツの情報をまとめていきます。本記事に記載されていない情報がありましたら、加筆修正させていただきますのでぜひご連絡ください。
YouTubeに上がっている原宿さん手書きの設定資料を読み取っているので、誤字等があるかもしれない点はご容赦ください
※動画から読み取れなかった部分は「?」表記としています

主要人物

竜国ドラゴニアの騎士団、竜の騎士団(ドラグナイツ)に入団し、やがて騎士団の主力となっていくであろう若者達。
ウェイン=シェリス→主人公
ルーサー→幼馴染
デューク→幼馴染
エミリオ→幼馴染

各勢力情報
国名 (主力)騎士団 初期兵力 指導者 騎士団長 首都 宗教
竜国ドラゴニア 竜の騎士団(ドラグナイツ) 約1万 竜王リュオン=ヴァグエル ウェイン=シェリ 竜都ドラグエル 竜神ヴァーグ
神聖大国ゴッドリア 神聖騎士団ホーリークロス 約1万5千 神王エリオット=セリオン エミル=セリオン 聖地シュラーク 大神イシュヌ
砂の都アズリア 熱砂騎士団イム・フォルム 約8千 カジム=バジ シーク=サラック アズリア 砂漠神オー
鋼鉄の国ローンガルド 鉄騎士団ドル・ゲイツ 約1万2千 グスタフ=ゲイブ シュテル=ファ ローンギア -
紅き帝国バルハザン 赤獅子騎士団 約12万 皇帝アレク=シュナイダー ベイオウルフ=カミュ 帝都ラムザ 軍神アレイユ
魔導国家シルヴァレイ 魔導兵団ラ=カーム 約10万 魔王ルカ=デルタ ハウザー=レイ 魔法都市シルヴァード -
辺境連合ライ・ボーン 緑の神軍 約5万 緑の女神シュウ=エレンシア アイナ=リリーナ エレンシア 森の守護神ウェール
アーサム都市同盟 - 合計約9万 - - - -
(アルム 雷光騎士団 約3万 サミュエル=ラモン ロウザ=ブラーフ ルウム -
(カッセリア 白夜騎士団 約2万 セス=マインカイム ソルヴェー=メルキス マイトランド -
(ディータ 轟炎騎士団 約4万 ライゴット=シー リウキ=ソーマ トーベリカ -
城塞都市アイネベルク 黒死騎士団 約7万 ミドー=ミルハイン ドープ=ゲッセイン アイネベルク -
盗賊団「紅き牙」 - 約3千 ファング=スカッリオ - 牙の砦 -
盗賊団「蒼」 - 約2千 マイロ=ピース - 水竜の洞 海神マイレーン
邪教マハト 暗殺集団サバキ 約千 教祖バゼルファーン・マハトラ シェーヴェ(闇) - 邪神ギャ=ザー
シースラント 金狼騎士団 約1万5千 オルグ=アネスタ アンネリー=アネスタ シースラント -
ヴァルム解放軍 - 約5万 ソルヴェー=メルキス - マイトランド -
エレメンタル関連

エレメンタルとは、世界を構築する6つの要素のことである。現実世界で言うところの、古代中国の『陰陽五行思想』や古代ギリシャの『四元素』にあたる概念と考えて良いだろう。更にドラグ=ナイツ世界では、それぞれのエレメンタルに対応する神格が設定されている。
なお「エピール」は作品時間で既に滅亡している古代文明である。

エレメンタル 古代エピール語 聖神/司る事柄
ヴァンス 炎神ヴァセラ/炎と怒り
アンセ 水神アンセイン/水と沈黙
ダイン 大地神トーラ/地と力
スール 風神セマ/風と雷?、?
シェレド 大神イシュヌ/生と死?
シェーヴェ 邪神ギャ=ザー/死と誕生?
守護十二神

神格のようであるが、公式(原宿氏)からの言及が少ないため詳細不明。先に記載した各勢力情報の部分に、宗教として記載があることから、一部の国では信仰の対象となっていることが確認できる。
竜神ヴァーグ/獣、守り?
軍神アレイユ/知恵と戦
森の神ウェール/森、実り
海神マイレーン/海、魚
魔神イヴァ/奇跡?、異常気象
太陽神サー/昼、太陽
月神ホルン/夜、月、星
金の神シル/商い、金
時の神クレイゾ/時間、季節
鉄の神ドル/鍛治、鉄
砂漠の神オー/砂、熱
酒の神ジマン/酒、祭り

その他情報

本項では、動画内の発言等から確認できている補足情報を記載する。
◎暦は「青龍暦」
◎青龍暦1095年に主人公ウェイン=シェリスが竜の騎士団(ドラグナイツ)に入団。これが物語開始時の時間軸と思われる。更に、ウェインはゆくゆくは騎士団長になるとのこと
◎同年に竜国ドラゴニア第一王子リュシオンが金狼将軍アンネリーに誘拐される。この作中イベントで主人公たちが”ただものではないぞ”ということが分かるような展開にするとのこと
◎暗殺集団サバキはギャ=ザーを信仰しない者を殺してしまう過激な集団である。また、その誕生が作中イベントとして起こる
◎城塞都市アイネベルクに死の病が蔓延する作中イベントが発生する。なお、その死の病は、身体中の穴から血を噴き出して死んでしまうような病である
◎主人公サイドは赤獅子騎士団と戦う。その戦いは序盤の山場である
◎辺境連合ライ・ボーンの首都名エレンシアは、指導者の苗字と一致しており、ライ・ボーンの指導者は代々エレンシアの名前を受け継いでいく

現時点でドラグ=ナイツについて公式(原宿氏)より名言されている事項は以上の通りである。

考察フェイズ

さて、ここからは今ある情報を基に、作品として組み立ていく中で整理していかないといけない点や、もし動かしていくならどのようにするのがいいかなどを考察していこうと思う。
重ねて予防線を張っておくが、筆者のきたしまは作家でも脚本家でもないただの素人で、単にドラグ=ナイツの設定が好きな一般人であることをご容赦いただきたい。

主人公と幼馴染たちについて

ドラグ=ナイツを進めていくにあたって、1つクリアにしておかなければならない点がある。主人公ウェインと仲間達が、騎士団に入団する動機である。こういった設定の物語では、いかに主人公サイドに感情移入できるようになるかという点が重要なのだろうと思うので、わざわざ戦闘を伴い、時に命を落とすこともある”騎士団”になぜ入ったのか、ベタでも分かりやすくても良いのである程度文量を割いて書いておくべきだろう。
ベタなのは
①父親など近しい人物が騎士団関係者である
②戦争孤児等で騎士団に拾われた
③騎士団自体が英雄視されている、高報酬であるなどの大きなメリットがある
などであろうか。
ここで、先の設定情報と絡んでくるのは、竜の騎士団(ドラグナイツ)の騎士団長がすでに主人公であるウェインとなっている点だ。先ほど説明したとおり、あくまでウェインが騎士団長になるのは物語がある程度進んだ場面であるから、物語開始時の団長は自由枠となっている。私ならここにウェインら主人公一団と近しい人物を配置するだろう。入団の理由としても使える他、前騎士団長の退場のさせ方によっては他メンバーに禍根を残して物語に動きを持たせることもできるし、逆にウェインに騎士団長としての自覚を強く抱かせることもできる。
例えばウェインに近しい人物を団長に据えた場合
◎前団長が戦死。その後を受け継ぎ、仇を討つことを誓う
◎前団長からの指名。他メンバーに前団長に憧れていた者が居り、自分が指名されずウェインがコネで指名されたと思い、逆恨みする
◎前団長が自勢力によって暗殺または失脚。騎士団自体の勢力を削ぐために、血縁者という理由だけでキャリアの無いウェインが叙任される
などのパターンが考えられ、ウェインでなかったとしても、幼馴染メンバーの誰かがこのポジションに収まってくれると動かしやすいのでは無いだろうか。
個人的には、主人公一団同士にもある程度の確執があったほうがいいと考えているので、それぞれの出自やバックボーンに差をつけることで、そこに確執の種を仕込んでいきたいと思う。よって、名門家系のキャラ、孤児など拾われてきたキャラ、成り上がりを目指す野心家キャラなど、騎士団になって成し得たいことがバラバラなグループを主人公+幼馴染たちには求めたく思う。そんなバラバラなメンバーをまとめていた騎士団長ないし隊長のようなキャラが退場することによって、少しずつ亀裂が入っていくというのはどうだろうか。尤も、公式がそのような展開を求めているかどうかは別問題だが。

世界観の強化

ドラグ=ナイツには数多くの国、騎士団が登場する。そのため、これらをどう動かしていくかということは非常に重要だと言える。個性を潰さず、存在感を残しつつ、かといってメインストーリーの邪魔をしない程度の動かし方である。そのために、まずは世界全体が今どのような状態になっているかということをある程度設定として固めておいた方がいいだろう。

騎士団と動員兵力

まずはそもそも「騎士団」とは何なのか。ストレートに考えれば、自衛または侵略のために設立した武装組織とするのが妥当だろう。それ自体については特に問題はない。一方で、先述の表における初期兵力を騎士団員の数とイコールにするのかどうかということだ。ここに関しては一考の余地がある。
現実世界においては、軍人の数イコール動員兵力とは必ずしも言えない。現代ではかなり一般人との区別がなされてきているが、それでも徴兵制度が存在している国はあるし、もっと古い時代では基本的に戦闘がおこなわれる場合には都度一般市民を徴発していた。日本史の授業でやったであろう防人(さきもり)などもこれにあたる。結局は戦争が多い時代の場合、戦力確保は重要であるが、一般人を見境なく兵力として用いては生産力が低下してそもそも勢力を維持できないので、一定期間のみ兵力として扱ってそうでない期間は生産活動に従事してね、というわけである。この辺りは別に専門家でもないのでこれくらいにしておく。
ここで一度ドラグ=ナイツ世界に話を戻してみる。例えば竜国ドラゴニアの兵力は約1万。つまり騎士が1万人居ることにするかどうかという話だが、これはYESとしておきたい。これは規模感の問題であって、仮にも国レベルの勢力であるためその程度の兵士数は確保しておきたいということだ。
比較とするのであれば、日本史上有名な桶狭間の戦い織田信長今川義元を討ったこの戦いで、今川勢は約2万5千の兵を動員したとされている。もちろん、これは本国防衛のために残している兵数は勘定されていないため、あくまで自由に動かせた兵数ということになる。仮に竜国ドラゴニアが一般人から兵を徴発しても1万しか集められないとすると、今川軍の半分以下ということになる。動員兵力は国の生産力、ひいては国の面積と関係する。この時の今川領はざっくり今でいう伊豆半島を除く静岡県と愛知県の半分ちょっとであるから、相対的に竜国ドラゴニアの面積は静岡県の半分くらいになってしまう。あくまで”冒険小説”であるドラグ=ナイツの国家規模がこのレベルでは早々に冒険が終了してしまう気がする。
まとめると、設定資料における兵力はあくまで常備兵力(騎士団員などの職業軍人の数)であり、動員兵力とは別として進めていくのが良いのではなかろうかということである。

各勢力のタイプ分けと考察

次は各勢力を掘り下げていくためにタイプ分けを試みてみる。大まかには国っぽいものと国っぽくないものに分かれている。首都が存在しない邪教マハトについては、国というよりは秘密結社的性格が強いとみえる。また、首都が砦や洞となっている盗賊団2つについても、おおよそ国家としては呼べないだろう。
次に、国家として六聖神、守護十二神を信仰しているかどうかという点で差別化が可能である。これは古代文明エピールで信仰されていた神格であることが予想されるため、この神格を国教としている国については、エピール直系の比較的古くから存在している国家としてはどうだろうか。この国家同士の系譜を同じにすることによって、倫理観や宗教感をある程度似通ったものとして描くことができる。これだけ国家が多いと、それぞれに文化が異なっていそうな気がするので、物語を描いていく中で全ての国を文化ベースが全く異なるものとして描いていくにはちょっとしんどいと思うからだ。守護十二神を信仰している勢力は血統とかを重視する保守的な傾向があって欲しい気がする。
というわけで、以上のことを踏まえて各勢力を更に深掘りしていこう。

【竜国ドラゴニア】
主人公が住む、物語の視点として中心になっていく国である。故に、文化や倫理観はもっとも現代人に寄せた設定にしておくのが無難であろう。
この国はほとんど主人公と同じ存在なので、基本的に自由に設定してよいと思うが、国家としての性格をもつ他勢力に比べてやや兵力が少ないことが気になる。以前よりも勢力が衰えているのか、立地的に攻めづらい場所に拠点があるため少ない勢力でも国家を維持できているのかなど理由はあるが、個人的には内乱とはいかないまでも、内政面があまり上手くいっていない気がする。
理由としては、後述する第一王子リュシオン誘拐事件である。第一王子ということは、王位継承者だろうから、そんな人物が誘拐されるような状態になっているということは、内側に手引きをした者が居るなどの状況が考えられる。よって、何かしらの不穏な空気が漂っている国家と考えられるのではないだろうか。「この国は、長い長い病の只中にある」とは竜の騎士団(ドラグナイツ)ベテラン騎士の言。

【神聖大国ゴッドリア】
聖神である大神イシュヌを信仰する国家である。このことから、かなり古くからある国家として設定しても良いのではないだろうか。古代文明エピールの滅亡理由は明らかになっていないが、超巨大国家だったとすれば、滅亡時に六聖神それぞれを戴く6つの勢力に分かれている状況であって、そのうち命脈を保って後々国家として再興を果たしたのがゴッドリア、とするのはいかがだろうか。
大国というには兵力が小さすぎる気もするが、恐らく六聖神よりも下位の神格と思われる守護十二神を主神としている国家と朝貢関係にあるとすれば大国としての名が維持できている理由にもなるだろう。ゴッドリアを中心とする、弱い連合関係にあるという設定も悪くない。ただし、君主はあまり有能とは言えないような気がする。

【砂の都アズリア】
砂の”都”となっているため、上述の二つの国家よりも規模の小さい所謂地方政権クラスの勢力と考えていいのではないだろうか。しかしながら、砂漠神オーを信仰しているため、先述のエピール系譜説を用いるならそれなりに力のある政権とみるのが妥当だろう。
砂の都と言うからには、国土の多くが砂漠地帯であることが予想されるため、独自の文化が発展しているだろう。また、砂で覆われている土地が多いことから、他国からの侵攻を受けにくいような気もする。何となくクセがありそうで、比較的描き分けやすい国家と思う。比較的協調性は低いか。
指導者のカジム=バジに「あまり我々に干渉するな。我々も貴殿らには……特に何も望まぬ」とか言って欲しい。

【鋼鉄の国ローンガルド】
この国の工業水準をどう設定するかで、ドラグ=ナイツ世界の文明レベルが決まるといっても過言ではない。名前からして、先進的な製鉄技術を有していることは疑いようがない。
個人的にドラグ=ナイツ世界は魔法と科学が共存していて欲しいので、科学系で最も進んだ国家をローンガルドとして設定し、レベル的には銃が一般的に普及しているくらいでいいのではないかと思っている。少し跳ねさせるのであれば、魔力を動力とする乗り物が開発されているくらいまで持っていってもいいかもしれない。そうした場合、ローンガルドは魔導国家シルヴァレイと技術交換をおこなっている設定というのもいいかもしれない。
いずれにしても、優れた兵器を保有していそうなので、兵力以上の軍事力を持っていてもおかしくない。

【紅き帝国バルハザン】
序盤の山と言われている赤獅子騎士団を擁する巨大勢力である。”紅き”帝国なのに”赤”獅子騎士団なのがめちゃくちゃ気になるがそれは置いておくとする。兵力は全勢力中最も優位であるため、支配領土も最も大きい覇権国家としての動きが期待される。ただし、次に考察するシルヴァレイが魔法というアドバンテージを持っているため、目下この二国の覇権争いは互角かもしれない。
守護十二神の一柱である軍神アレイユを主神としているため、エピールの系譜ではあるが、既にゴッドリアを遥かに凌ぐ勢力を持っているため、仮に朝貢関係が続いているとしても独立志向は強いはずだ。
現実世界で例えれば、戦国時代の足利将軍家がゴッドリアと考えると分かりやすく、軍事力で大きな差があったとしてもエピール系譜の国家の中ではゴッドリアが一段格が高く、それに歯向かうことは他のエピール系譜勢力を全て敵に回すことと同義と考えてみたらどうだろうか。その枠組みから脱却する行動をバルハザンが起こしたとすれば、自ずとドラゴニアと敵対関係になる流れができるので非常にスムーズだと思う。

【魔導国家シルヴァレイ】
こちらも相当の力を持った国家であろう。充実した戦力と魔法という優位性、中盤以降の敵対勢力としてはうってつけの肩書きである。ただし、後述するがせっかく神話を設定に盛り込んでいるドラグ=ナイツであるから、最終的な敵対勢力としては六聖神を信奉する邪教マハト勢力としたいので最終的には主人公サイドと手を組ませたいところ。
ローンガルドが科学技術の最先端であれば、こちらは魔法技術の最先端であるので、ここの設定も重要であるが、この世界の魔法については公式の判断に委ねたいところである。

【辺境連合ライ・ボーン】
連合国家という体のため、他勢力に比べて動員などが難しそうなイメージであるが、それでも中堅クラスの戦力を保持している。連合というからには、ライ・ボーン内の諸勢力はある程度の自治権を持っていると考えられる。故に、物語が進んだところでマハト勢力に取り入られ、連合を脱退して独立されるような展開もありかと思う。
いずれにしても、設定からあまり積極的に戦役に介入してこなさそうなイメージを受け取るため、それ以外の役回りを与えてあげたいところ。

【アーサム都市同盟】
アルム、カッセリア、ディータという有力都市で構成された同盟と思われる。立ち位置的には古代ギリシャのスパルタ、アテナイ、テーバイのようなポリス間で結ばれた同盟のようなものとして捉えていいだろう。この場合、そういった同盟は一都市国家では対抗できない勢力との抗争を前提として結ばれるものであるため、どことぶつけていくかが重要なところ。勢力的にはバルハザンかシルヴァレイであるが、より対外侵攻の圧が強そうなバルハザンが妥当か。

【城塞都市アイネベルク】
死の病が蔓延することが決定している可哀想な国家。その騎士団が黒死の名を冠しているのはなんの因果なのだろうか。公式はこのアンサーを用意している気がする。例えば、死の病ではあるが生き残った場合、身体能力の大幅な向上がみとめられる、とか。また、病の影響で皮膚が黒変し、それが症状回復後も後遺症として残ってしまう、みたいな感じであれば”黒死”という名前の根拠にもなる。
7万の軍は無視できるような規模ではないため、死の病含めどのように絡ませていくかで色々な動きができそうな国家だ。

【盗賊団「紅き牙」】
バルハザンとなんとなくかぶってしまうキャラクターを持つ盗賊団。正直あまりアイデンティティがないので、自由に設定を考えさせていただく。
バルハザンと名前が似ているので、そこと絡めていこうと思う。権力闘争などによって、騎士団長から追い落とされたファング=スカッリオが、一緒に脱退した元赤獅子騎士団のメンバーと共に結成した盗賊団というのはいかがだろうか。そうすれば赤”獅子”騎士団なのに現団長がベイオ”ウルフ”なのにも伏線が張れるしいいのでは、という安直な考えである。元々は紅獅子騎士団だったけど、ファング追放時に赤獅子にした、とかでも良さそう。
主人公サイドが、バルハザンに恨みがあるだろうから味方としてドラゴニアに来ないか、という誘いをおこなったのを、自分はあくまで自分を追い落とした者に恨みがあるだけで、国への忠義は捨てていないという理由で断って戦闘に発展して欲しい。「敵の敵は味方、そんな理論が通じるほどこのファング=スカッリオの忠義は薄れておらんわ!!」って言ってガチのぶつかり合いをね、して欲しいよね。

【盗賊団「蒼」】
私が提唱した、エピール系譜理論によってこの盗賊団はかつて存在したエピール系譜国家の末裔が結成した集団という位置付けになった。そのため、どちらかと言えば主人公サイド寄りの性格とみてもいいかもしれない。何とか命脈を保って、国家の再興を狙うポジションとして動かしていきたい。
何となく、ウェインからマイロ”さん”って呼ばれてて欲しいし、生きていくために仕方なく盗賊やっていて欲しいよね。「俺はどうしようもねェ軍人だからよ、気づいたら戦うことと奪うことだけ残っちまった」ってマイロさん言ってるよ。

邪教マハト】
個人的にラスボスとしたい勢力。今までの国家が表でドンパチやっているうちに、そうやって戦乱で疲弊した人心に漬け込んで信者を拡大していき、気づいたら国の重鎮も信者になっていて……というような展開ではどうだろう。腐っても古代エピールの正当な系譜であることを名乗れば割と勢力拡大も狙えると思う。それを加速させるために、他の六聖神を戴くゴッドリアは凋落させていく流れを取りたい。
あと、シェーヴェ(闇)という設定はシェーヴェ(光)みたいなものも存在するという意味なのだろうか。それとも、古代エピール後でシェーヴェは闇を表すので、団長にあたる人物が闇そのものということなのだろうか。公式の見解を待ちたい。

【シースラント】
物語開始時の大事件、ドラゴニア第一王子リュシオン誘拐の実行犯である金狼将軍アンネリー擁する国家。立ち位置的には都市国家レベルになるだろうか。
先述の通り、王位継承者の誘拐はそう簡単にいかないので、ドラゴニア内部の権力闘争によって引き起こされた事件として設定するのが無難かと思う。そうなるとアンネリーは何者かの依頼によって誘拐を実行したということになり、この”報酬と引き換えにどんな依頼も受ける”ということ自体をシースラントの存在意義として、トリッキーな傭兵国家として役回りを与えてみてはいかがだろうか。そうすると”金狼”が報酬(金)で戦力(狼)を動かすという意味にもなるため、何となくオシャレな感じもする。
この傭兵国家という立ち位置自体、相当危うい立場のため、指導者や団長はかなり優秀な者でなくてはならないだろう。指導者ゲオルグは権謀術数を駆使する政治力の高い人物で、軍事一切のことはこちらも切れ者であるアンネリーに任せている、といった具合だ。上記のような設定でいくのであれば、最初の主人公サイドのとの戦闘でも、主人公たちに何か光るものを感じたのであえて見切りをつけて王子を返還する、というような引き際の良さを発揮して欲しい。
何となくアンネリーは主人公に嫌われていそうで、物語が進んで味方になった時に嫌悪感を示されていて欲しい。
「なるほどな。そういうわけならお前さんたちに乗っかる方が吉か……王子を返還して相応の賠償金を支払う。これで手打ちといこうじゃないか。戦力的にはアンタらが不利なんだ。せっかくの命、ここで散らすには惜しいと思うがな」とは誘拐事件の際のアンネリーのセリフ。

【ヴァルム解放軍】
ヴァルムを解放する軍なのだろうが、ヴァルムというものが設定に出ていないので、現状何をどうやって解放するのか分からない存在証明の無い軍団。考察のしようがないため、公式の救済を待ちたい。


以上で考察フェーズは終わりである。正直疲れた。

最後に

責任なく、自由に設定にあーだこーだ言える機会はなかなかないので、非常に楽しかった。個人的に創作って楽しいというところがスタートだと思うので、こういった感情を忘れずに生きていきたい。
また、ドラグ=ナイツを本格的に執筆しようという方がいらっしゃれば、何でもお手伝いするのでぜひ声をかけていただきたい。
では、オモコロとドラグ=ナイツをよろしく。